2005 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク制御した心筋細胞拍動リズム形成ダイナミクスの1細胞計測
Project/Area Number |
04J11559
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 健介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 後天的情報 / 細胞ネットワーク / 構成的1細胞培養 / 心筋細胞 / 拍動リズムゆらぎ |
Research Abstract |
生命における情報には、先天的なゲノム情報を補うものとして、免疫系、神経系に代表される記憶、学習や神経ネットワークに見られる、その細胞集団特有の空間パターンのように、細胞がネットワーク化することにより、その細胞ネットワークに依存して決定されるダイナミクスである後天的な情報がある。 本研究では、細胞ネットワークを構成している細胞の数、種類、空間パターンが、いかに細胞集団のダイナミクスに関与するのかという、後天的に決定される、細胞ネットワークに依存した情報の獲得、保持、安定化機構の理解を目的としている。 この目的のためには、1細胞単位で細胞の数、種類、空間パターンを制御し、構成的に細胞ネットワークを構築して、その細胞集団に依存したダイナミクスを計測、解析する方法が有効であると考え、これまでに構成的1細胞培養法の確立に成功している。 本年度の研究では、この培養法を用いて培養した1個の心筋細胞の拍動リズムが、他の心筋細胞と相互作用して拍動同期し、最終的に9個からなる心筋細胞ネットワークを形成した過程を段階的に連続観察することで、ネットワークを構成する細胞数と拍動リズムにどのような相関がみられるのかを解析した。 1個の心筋細胞の持つ固有の情報を拍動リズムゆらぎ(変動係数:CV%)として、9個の心筋細胞ネットワークの各細胞数に対するCVを求めた所、1個の心筋細胞のCV値は大きいが、細胞数が増加するに従って、段階的にCV値が減少していき、最終的にCV値が10%程度になって安定化する結果を得た。(Kojima, et al. Journal of Nanobiotech. 2005) 以上のように、1個の心筋細胞の持つゆらぎの大きいリズム情報は、ネットワーク化することで、9個程度の少数の細胞数から成るネットワークでも、その共有化されたリズム情報が10%程度のゆらぎになり安定化するという、細胞数に依存した後天的情報の獲得・安定化現象を捉えることに初めて成功した。
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Research Products
(1 results)