2006 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク制御した心筋細胞拍動リズム形成ダイナミクスの1細胞計測
Project/Area Number |
04J11559
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 健介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 心筋細胞 / 拍動リズムゆらぎ / 細胞集団化効果 / 心臓組織モデル / 1細胞培養法 / 細胞集団サイズ依存性 / 細胞空間パターン依存性 |
Research Abstract |
培養チップ上での最小サイズの組織モデルの構築を目指し、これまでの研究によって、1細胞レベルで細胞集団の空間パターン、細胞集団サイズを制御できる独自の培養法を開発し、これを用いて、心筋細胞をモデルとした細胞集団化効果の機能評価を行ってきた。本年度における研究実施状況は以下の通りである。 (1)心筋細胞集団と心筋1細胞を相互作用させ、その同期過程を解析した所、細胞集団の拍動状態は変化することなく、1細胞の方が集団の状態に揃う傾向が見られ、細胞集団サイズの増加によってこの傾向は更に強くなることがわかった。すなわち、集団化効果による安定化として、引き込み現象が示唆された。(Biochem, Biophys.Res.Commun. 351,2006,209-215) (2)心筋細胞集団の空間パターンを変化させて、それぞれの空間パターンにおいて、細胞数に対する拍動ゆらぎ減少の傾向を比較した結果、すべての空間パターンで、細胞数に対して段階的に拍動ゆらぎが減少し、最終的に10%程度で安定化することがわかった。すなわち、拍動状態の安定化においては、空間パターンには依存せず、細胞集団サイズに依存することがわかった。(Biochem.Biophys.Res.Commun. 2007,356,2007,494-498) (3)4細胞、9細胞から成る心筋細胞集団に対して、薬剤投与による摂動状態からの回復過程を解析した所、4細胞集団に比べると9細胞集団の方が刺激後、薬剤投与前の拍動状態に近い状態に戻る傾向が大きいことがわかった。すなわち、集団化効果による安定化として、摂動状態から元の状態への回復傾向が示唆された. 以上のように、心臓組織が示す、安定拍動状態、引き込み現象、交感、副交感神経刺激での心拍数増加、減少における、刺激停止後の元の心拍数への回復といった、3つの安定化作用が、9細胞程度から成る細胞集団でも集団化効果によって獲得されることを初めて示すことができた。この様に、本研究によって、1細胞ベースの心筋細胞集団が、培養チップ上における心臓モデルと成り得る可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)