2005 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚における未分化制御因子の同定および体細胞核リプログラミング機構の解明
Project/Area Number |
04J11568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
足立 健次郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 発生 / 胚盤胞 / 幹細胞 / siRNA |
Research Abstract |
哺乳動物の発生は,分化全能性を有する1つの受精卵から高度に特化した種々の機能細胞を生み出す過程である.そこでは時空間的に規定された細胞間相互作用を介して細胞運命が調節的に決定されることにより,多様性をもった細胞集団が創り上げられる.我々は,細胞の未分化状態の維持あるいは分化制御に関与する外因性因子を同定するため,マウス着床前胚に由来するESTライブラリより膜タンパク質をコードすると予測される遺伝子を抽出し,RNAiによる機能的スクリーニングを行った.各々に対するsiRNAをマウス受精卵へマイクロインジェクションした結果,胚盤胞への発生を有意に阻害するものを複数同定した. 上記遺伝子の一つは,siRNAの導入により胞胚腔の形成を完全に抑制した.siRNA導入胚を詳細に解析したところ,コンパクションは正常に起きるもののBrdUの取り込みが著しく低下しており,その後16細胞期で増殖を停止していることがわかった.またEndoAの発現が低下しており,初期の栄養外胚葉細胞の分化に異常を来していることが示唆された.当該遺伝子のmRNAは,成体組織に対して胚性組織において高発現し,着床前発生過程においては未受精卵から胚盤胞までほぼ均一に発現していた.また,ES細胞およびTS(栄養芽幹)細胞においてもそれぞれ発現が認められた.ES細胞における当該遺伝子の機能を検討するために,shRNAベクターをES細胞に導入したところ,自己複製が有意に阻害された.以上のことから,当該遺伝子は着床前胚の発生に必須であり,細胞増殖,分化,あるいは形態形成に関与する可能性が示唆された.
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