2005 Fiscal Year Annual Research Report
GnRH情報伝達系の多様な生理機能-生殖腺における役割とその進化的意義-
Project/Area Number |
04J11570
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池本 忠弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GnRH / 脳下垂体 / 脳下垂体 |
Research Abstract |
生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)は、脳下垂体の受容体に作用して生殖腺刺激ホルモンの放出を促進させ、脊椎動物の生殖活動を支える情報伝達系において中心的な役割を担っている。本研究では、比較生物学的な観点から、脊椎動物のみならず脊索動物門全般においてGnRH及びGnRH受容体を綱羅的に同定した。特に、哺乳綱と硬骨魚綱における研究により、GnRH及びGnRH受容体両者の遺伝子数が動物綱ごとに、そしてときには同じ動物綱内で、著しく異なることを明らかになった。このことはGnRHがもつ生理機能の普遍性及び種特異性を理解するためには比較生物学的解析が必須であることを強く意味するものであり、特定の動物種でのみ散発的に行われてきた従来の研究に対して警鐘を鳴らすものである。 そしてこのような遺伝子セットの相違にも関わらず、生殖腺におけるGnRH受容体の発現が脊索動物門で普遍的な現象であることが本研究により明らかになったため、硬骨魚綱と爬虫綱において脳下垂体GnRH系と生殖腺GnRH系の比較解析を行った。その結果、GnRH受容体の発現様式や細胞内GnRH情報伝達系が脳下垂体GnRH系と生殖腺GnRHとで完全に異なることが明らかになった。更に、生殖腺におけるGnRH受容体の発現様式を動物綱間で比較したところ、発現部位に共通性が見出されたものの、配偶子形成に伴う発現量の変動の仕方は動物綱ごとに著しく異なっていた。本研究の更なる進展は、生殖腺におけるGnRHの生理的役割とその進化的意義の究明に繋がるものと期待される。
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Research Products
(4 results)