2006 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成過程の全容解明に向けた、転写因子下流遺伝子の網羅的探索
Project/Area Number |
04J11585
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田尻 怜子 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ショウジョウバエ / 肢 / マイクロアレイ / 区面化 |
Research Abstract |
組織で領域特異的に発現して組織を区画化する転写因子群の下流で形態を直接制御する遺伝子の探索・解析の報告は少ない。本研究ではショウジョウバエ肢形成過程をモデル系としてそのような下流遺伝子の網羅的解析を目指してきた。 ショウジョウバエの肢原基はBarH1/2,Aristaless, C11など様々な転写因子の領域特異的発現により、成虫肢の遠近軸方向の分節構造に対応した区画に分割される。前年度までに、肢原基において分節特異的に発現する遺伝子を網羅的に探索するために、肢原基を分節ごとに切り分けて各分節からRNAを抽出し、それらの発現プロファイルを比較するマイクロアレイ解析を行った。この解析において分節問で有意な発現量の差を示した900強の遺伝子の一部について、今年度は大規模なin situハイブリダイゼーションによって肢原基における実際の発現パターンを検証した。in situハイブリダイゼーションを行った192遺伝子のうち約61%にあたる118遺伝子について分節特異的な発現が確認できた。マイクロアレイ解析において分節間で平均約2倍以上の大きな差違を示した遺伝子に限ると、実際に分節特異的に発現する遺伝子の率は約76%であった。この高い効率は、これまでのマイクロアレイ解析の妥当性を裏付けるものと考えられる。また、分節特異的発現を示した遺伝子の大部分は先端の分節で特異的に発現量の異なるものだった。それらの遺伝子が、この分節に形成される爪などの特殊な構造の形成に様々な役割を果たすことが示唆される。
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