2004 Fiscal Year Annual Research Report
アミノアシルtRNA合成酵素複合体のX線結晶構造解析による基質認識、反応構構解明
Project/Area Number |
04J11594
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福永 流也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アミノアシルtRNA合成酵素 / 校正反応 / tRNA / ロイシルtRNA合成酵素 / X線結晶構造解析 / バリアブルアーム / 認識決定部位 / Pyrococcus horikoshii |
Research Abstract |
古細菌Pyrococcus horikoshii由来のロイシルtRNA合成酵素(LeuRS)単独の結晶化、およびX線結晶構造解析に成功した(2.1Å分解能)。それにより古細菌/真核生物型LeuRSは新規のタイプ3の校正反応ドメイン配置を有し、それはそれまでに知られていた真正細菌型LeuRSのタイプ2やイソロイシルtRNA合成酵素(IleRS)およびバリルtRNA合成酵素(ValRS)のタイプ1のものとは異なっていた。配列解析と組み合わせて、以下のことが推測された。もともとLeuRSはタイプ1の校正反応ドメイン配置を持っていたが、進化の過程でtRNA^<Leu>に長いバリアブルアームが付加されたことにより酵素上でのtRNAの配置が変化し、古細菌/真核生物型LeuRSはタイプ3へ、真正細菌型LeuRSのタイプ2へとドメイン配置を変化させることで校正反応を維持している。また生化学的解析からLeuRSはIle-tRNA^<Leu>を加水分解し、その反応にはAsp332が重要であることを明らかにした。 古細菌LeuRS・tRNA^<Leu>との複合体の結晶化とX線結晶構造解析に成功した(3.2Å分解能)。LeuRSに特徴的なC端ドメインがtRNA^<Leu>の特徴的な長いバリアブルアームの先端の塩基を認識していた。tRNAの3'末端はアミノアシル化部位に入り込んでいた。これは校正反応ドメインをもつアミノアシルtRNA合成酵素で「アミノアシル化状態」の構造をとらえた初めての成果である。校正反応ドメインが動くことによりtRNAとの衝突を回避してアミノアシル化部位にtRNAの3'末端を受け入れていることが明らかとなった。また、構造中で2種類の認識決定部位の認識様式が見られ、tRNAの末端をアミノアシル化部位から校正反応部位へ移動させるのに認識決定部位の認識様式の変化を経ていることが推測された。
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Research Products
(5 results)