2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いたERECTA遺伝子を介したシグナル伝達系の解析
Project/Area Number |
04J11596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
古水 千尋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 形態形成 / シグナル伝達 / 分子遺伝学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
erecta変異体における既知の遺伝子の発現量の解析 ERECTA遺伝子の作用機構に関して知見を得るためにerecta変異体における既知の遺伝子の発現量を解析した。ERECTA遺伝子は主に茎頂分裂組織や器官の原基で発現し、植物体の地上部の形態形成に関与することから、茎頂分裂組織で発現する遺伝子や地上部の形態形成に関与することが知られている遺伝子等を解析の対象とした。その結果、花成に関与することが示唆されているFWA遺伝子の発現量がerecta変異体において若干上昇していることが分かった(日本遺伝学会第76回大会)。 ERECTA遺伝子をL1層特異的に発現する形質転換植物の作成と解析 シロイヌナズナの茎頂分裂組織は細胞の分裂様式に即していくつかの細胞層に分けることができる。その中で茎頂分裂組織の最外層であるL1層に注目した。L1層の細胞は垂層分裂するために細胞層は厳密に保たれ、成熟器官の表皮へと分化する。表皮系におけるERECTA遺伝子の機能に関して知見を得るためにERECTA遺伝子をL1層特異的に発現する形質転換植物を作製した。シロイヌナズナからL1層特異的に発現する遺伝子として単離されたPDF2遺伝子の発現制御領域の下流にERECTA遺伝子をつないだ融合遺伝子を作製し、その融合遺伝子をerecta変異体のnull変異体であるer-105変異体に導入した(日本植物学会第68回大会)。作製したer-105 pPDF2::ERECTA形質転換植物において花序やさやの形態を観察したところ、野生型とほぼ同様の表現型を示した(シロイヌナズナワークショップ2004)。 ERECTA遺伝子の転写制御因子の探索 ERECTA遺伝子の発現制御領域をレポーターであるGUS遺伝子につないだ融合遺伝子はERECTA遺伝子の発現制御領域の活性を可視化するのに有用である。そこで野生型植物に融合遺伝子を導入した形質転換植物をEMSを用いて変異源処理し、GUS活性に変化が見られる変異体の探索を開始した。GUS活性が変化する変異体の原因遺伝子の中からERECTA遺伝子の発現制御に関与する因子が単離されることが期待される(第46回日本植物生理学会年会)。
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