2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いたERECTA遺伝子を介したシグナル伝達系の解析
Project/Area Number |
04J11596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
古水 千尋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 形態形成 / シグナル伝達 / 分子遺伝学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
1.ERECTA遺伝子の発現制御領域の解析 ERECTA遺伝子は植物体の地上部特異的に発現し、発達中の器官や茎頂分裂組織で特に強く発現することが分かっている。このような部位特異的な発現制御に必要な最小限の発現制御配列を特定するために、改変したERECTA遺伝子の発現制御領域をレポーターであるGUS遺伝子につないだ融合遺伝子を作製した。融合遺伝子を導入した形質転換植物のレポーター活性を測定して、野生型の発現制御領域に加えた改変操作の影響を解析することにより、発現制御に必要な配列が特定されることが期待される。 2.ERECTA遺伝子の発現を制御する遺伝子の遺伝学的な探索 ERECTA遺伝子の部位特異的な発現を誘導するのに十分な発現制御領域をGUS遺伝子につないだ融合遺伝子を導入した形質転換植物の種子をEMSによって変異源処理し、GUS活性に変化が見られる変異体を選抜した。その結果、GUS活性が低下している複数の系統を単離した。これらの系統について、ERECTA遺伝子の転写産物の蓄積量を解析した結果、ERECTA遺伝子の転写産物の蓄積量が減少している系統が得られた。現在、表現型の解析と遺伝子を同定するための実験を行っている(第47回日本植物生理学会年会)。 3.erecta変異体の新奇アレルの同定 2の変異体の選抜中にerecta変異体に類似した表現型を示す3系統の変異体が得られ、いずれもerecta変異の新奇アレルであることを明らかにした。また形質転換植物の作製中にも新奇アレルを1系統同定した。これらの変異体の新奇アレルの中で3アレルはナンセンス変異であり、強い変異体型の表現型を示した。1アレルはミスセンス変異であり、弱い変異体型の表現型を示した。現在までに単離されてきたerecta変異体の中には弱いアレルが少なかったことから、今回、発見したミスセンス変異の弱いアレルはERECTA遺伝子の分子生物学的な理解に大きく貢献することが期待される(第47回日本植物生理学会年会)。
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