2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いたERECTA遺伝子を介したシグナル伝達系の解析
Project/Area Number |
04J11596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
古水 千尋 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 形態形成 / シグナル伝達 / 分子遺伝学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
1.ERECTA遺伝子の発現を制御する遺伝子の遺伝学的な探索 昨年度までに、ERECTA(ER)遺伝子の転写産物の蓄積量が減少している複数の変異体を単離した。この中でER遺伝子の転写産物の蓄積量が特に顕著に減少していた12D1系統に関してさらに詳細な遺伝学的解析を行った結果、12D1は少なくとも四重変異体として単離されたことが示唆された。このうち3つの原因遺伝子に関しては、マッピングを行い、塩基置換部位を同定した。現在、野生型遺伝子の導入による相補実験とそれぞれの単独変異体の表現型の解析を進めている(第48回日本植物生理学会年会)。 2.ER遺伝子の発現を制御する遺伝子の生化学的な探索 ER遺伝子の発現制御領域の解析から、ER遺伝子の上流因子候補として得られたOBERON1(OBE1)遺伝子はシロイヌナズナの発生において重要な機能を果たすことが推測されている(西駕ら、投稿準備中)。そこでOBE1遺伝子によるER遺伝子の発現制御機構に関する新たな知見を得るために、OBE1をベイトに用いた酵母2ハイブリッドスクリーニングを行い、OBE1の複数の相互作用因子BIP(OBERON BINDING PROTEIN)を同定した。 3.ER遺伝子の推定上流因子の逆遣伝学的な機能解析 2で得られたBIP遺伝子の機能に関する知見を得るために、BIP遺伝子の破壊株の解析を行った結果、BIP2遺伝子はER遺伝子の発現制御のリプレッサーである可能性が示唆された。 4.マイクロアレイ解析によるER遺伝子の下流因子の探索 ER遺伝子の下流ターゲット因子を明らかにするために、マイクロアレイ解析を行い、野生型とer変異体との間でmRNAの発現量に差がある遺伝子を網羅的に探索した結果、転写制御やシグナル伝達に関与することが推測される多数の下流因子候補が得られたため、これらの遺伝子の機能解析を行っている。
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