2004 Fiscal Year Annual Research Report
カイコの性分化におけるBmdsxの機能とその発現調節機構の解析
Project/Area Number |
04J11612
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船隈 俊介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カイコ / 栄養細胞 / 性分化 / 卵胞 / pre-mRNA / スプライシング / SAGE / 卵母細胞 |
Research Abstract |
研究代表者らはこれまでにカイコにおいてBmdsx遺伝子が体細胞の性分化に関与することを見出して来た。また、Bmdsxはpre-mRNAが雌雄で異なるsplicingを受けることにより、最終的に雌雄で異なるタンパク質として翻訳されることが明らかにされている。そこで、今年度は卵巣内に発現している遺伝子群を網羅的に同定することで、生殖細胞における性分化を考察すると共に、雌で発現しているpre-mRNAスプライシング因子を網羅的に探索する目的で、カイコ卵胞(stage1〜3)より調製したRNAを元に3'-Long SAGEライブラリを作成した。始めに、卵胞内で起こっている卵原細胞やシストブラストの非対称分裂を調節する遺伝子群を探索した。キイロショウジョウバエの神経幹細胞を用いた研究から、細胞の非対称分裂の際の物質分配に関与するタンパク質の多くが細胞内において紡錘体、中心体や収縮環に局在していることが知られている。そこで、出現したタグの内、"centrosome"、"spindle"や"apical cortex"をGO termとして有しているものを集めた所、アノテーションが可能であった1138種類のタグの中から16種類のタグが得られた。その中には、キイロショウジョウバエにおいて神経幹細胞の非対称分裂に関与していることが示唆されている遺伝子であるauroraやzipperに高い相同性を示すものが含まれていた。尚、auroraのコードするタンパク質であるAurora-Aは通常、細胞内において中心体に局在するキナーゼであり、細胞が癌化する初期過程においてそのmRNA量及びタンパク質量が増加し、それに引き続き細胞質分裂を伴わない核内有糸分裂へと移行することが知られている。上記のようにカイコ卵胞内では栄養細胞が核内有糸分裂を行っており、その類似も興味深い。
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