2005 Fiscal Year Annual Research Report
カイコの性分化におけるBmdsxの機能とその発現調節機構の解析
Project/Area Number |
04J11612
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
船隈 俊介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | small RNA / カイコ / 卵巣 / SAGE / MPSS / ゲノム / RNA |
Research Abstract |
近年様々な生物を用いた研究から、20〜30塩基から成る低分子RNAが相補的な配列を有する遺伝子に作用し転写時または転写後の時点でその発現を調節することが明らかにされている。今年度、カイコにおいて他組織と比較して卵巣小管に多く存在する低分子RNAを発見及び配列決定した。それらのRNAは以下に記す特徴を有していた。(1)カイコゲノムに5回以上ヒットしたもの、または既知の反復配列に対する高い相同性を示したものが高い割合で含まれていた(54.6%)。(2)反復配列ではないタンパクコード転写産物にヒットするものは含まれていなかった。(3)既知のmiRNAに相同性を示すものは含まれていなかった。(4)75.4%のクローンがUから開始されていた。(5)28.6±2.3bpというサイズ分布を示した。(6)複数(2〜6)のsmall RNAがヒットしたコンティグの約96%において片方のDNA鎖に対してのみヒットするという非対称性が観察された。(7)これらのコンティグをqueryとしblastxを行った結果、90%以上のものに関してORFの予想されたDNA鎖とsmall RNAのヒットしたDNA鎖は相補的な関係にあった。また同じく卵巣小管由来のRNAを用いてSAGE(約14万tag)及びMPSS(約99万signature)を作成し、取得したタグをqueryとして複数(2〜6)のsmall RNAヒットしたコンティグに対してblastnを行なった所、両方のLibraryのタグがヒットしたコンティグは41.5%であった。SAGE、MPSSが両者ともpoly(A)が付加されているRNAであれば、発現量の微量なものも検出出来る実験手法であることを考えると、カイコ卵巣小管で観察されたsmall RNAの元となっているRNAの中には、polyAを持たないRNAも含まれていることが示唆された。
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