2006 Fiscal Year Annual Research Report
根圏・根組織からみた植物細胞のアルミニウム障害応答機構の解明
Project/Area Number |
04J11617
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
林 芳武 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / 根 / 回旋運動 / 細胞伸長 / オーキシン |
Research Abstract |
イネ根端の回旋運動について、一昨年度はアルミニウムイオンをはじめとした多様な環境刺激の影響を、昨年度は屈曲部位を構成する細胞数および細胞サイズを主に調査し、一定の知見を得ることができた。それを踏まえ、今年度は細胞伸長を制御する植物ホルモン、オーキシンに焦点を当てて研究を展開した。 植物ホルモンの作用および至適濃度は組織ごとに異なる。オーキシンの場合、茎では細胞伸長を促進することがよく知られているが、根の細胞に対してはそれよりも低い濃度で作用し、伸長促進よりも伸長阻害に働く(播種後7日ほど経過したイネの場合、IAAであれば根処理で1μM、地上部処理であれば100μMから根の伸長阻害が観察される)。したがって、イネ根端の回旋運動は、屈曲部位でオーキシンの濃度の偏りが生じて細胞の偏差生長が引き起こされ、その偏りが周期的に変動することで発現するとの推測が成り立つ。 上記の仮説を検証するため、オーキシンの正常な分配をかく乱するオーキシントランスポーター阻害剤を用いて回旋運動への影響を観察したが、阻害剤の効果が非常に強力でごく微量であっても根の生長に深刻な障害を与えるため十分なデータを得ることができなかった。そこで次に、放射性同位体^<14>Cで標識したIAAを植物体に取り込ませ、イメージングプレート(IP)で撮影して根の屈曲部位におけるオーキシンの偏りを明らかにすることを試みている。IP読み込みの解像度は最小25μm(モデルにより10μm)で、直径300〜400μmのイネ根の屈曲部位の左右を判別可能であることは既に確認し、現在は回旋運動をかく乱せずに屈曲部位にできるだけ^<14>C-IAAを多く到達させるべく、処理条件の検討を行っている段階である。
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