2004 Fiscal Year Annual Research Report
湿地土壌中におけるメタンの挙動と大気への放出メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
04J11631
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
常田 岳志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地球温暖化 / メタンガス / 湿地 / 気泡 / ガス採取 |
Research Abstract |
自然湿地は重要な温室効果ガスであるメタンの最大の放出源であると言われている。自然湿地表面からのメタン放出量測定は数多く行われているが、湿地土壌中のメタンの分布や存在量に関する報告はほとんどない。また湿地の土壌はそのほとんどが地下水面下にあることから、メタンは溶存状態で存在していると考えられてきた。 本年度の研究では、北海道の美唄湿原を対象としたフィールド調査を行い、新しくデザインしたガスサンプラーを使うことによって、地下水面下にある地表下120cmまでの泥炭層から、気相、すなわち「気泡」として存在しているガスを採取することに成功した。気泡中のメタンガス濃度は深さと共に増加し、常に地下水面下におかれている土層では50%を超えた。水面下の気相率は深さによって大きく異なり0-19%と推定され、気泡は不均一に分布していると考えられた。気相率と体積含水率、およびメタン濃度からメタンの存在形態を推定したところ、およそ60%のメタンは地下水面下であっても溶存状態ではなく、バブルとして気相中に存在していることがわかった。 これらの結果から、湿地土壌中に蓄積されているメタンを含む気泡の放出が、メタンフラックスの大きな時空間変動性の原因の一つとなっていることが推測された。既往の研究では湿地のメタンの存在形態としては溶存状態のみが想定されていたが、湿地におけるメタン生成・移動・放出メカニズムを考える際には、気体として存在しているメタンを考慮することが極めて重要であることがわかった。
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Research Products
(1 results)