2004 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線誘発皮膚傷害の発現機構に関する実験病理学的研究
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04J11659
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | YPCマウス / 毛包 / SGKL |
Research Abstract |
国立感染症研究所にて系統樹立されたmutant系で、貧毛の表現系を示すYPCマウスを用い、1ヶ月間の慢性紫外線照射実験を行った。その結果、照射による表皮と毛包角化細胞の増殖・分化の変化に関して、他の系統では報告されていない非常に興味深い結果が得られた(未発表)。そこで、まずYPCマウス自体の背部皮膚性状に関して、特に毛包組織に焦点を当てて形態学的解析を行ったところ、毛母細胞の増殖・分化異常と毛軸の形成不全、および劇的な成長期の短縮が認められた。これらの結果は、他のmutantマウスでは全く報告されていない、非常に特徴的なものであった。同時期に岡山大学において、YPCマウスの変異遺伝子がSerum and glucocorticoid kinase-like kinase(SGKL)であることが明らかにされた。そこで、野生型マウスの皮膚についてSGKL mRNAの発現検索を行ったところ、成長期毛包の内毛根鞘に限局して強い発現が確認された。これらの結果から、SGKLが毛母細胞の増殖・分化および毛周期の維持に不可欠な分子であることが明らかとなった。また、YPCマウスではWntシグナル経路で重要な役割を果たすβ-cateninの毛母細胞核内への蓄積がwild typeマウスと比較して少なく、SGKLによる毛母細胞の増殖・分化の制御にWnt経路が関わっている可能性が示唆された。これらのデータの一部を含む論文はDNA Research誌に掲載され(2004年)、残りのデータに関しても現在投稿準備中である。
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