2004 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス条件下の生殖機能制御におけるグルココルチコイドの役割
Project/Area Number |
04J11663
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松脇 貴志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ストレス / グルココルチコイド / 黄体形成ホルモン(LH) / サージ / 排卵 / パルス |
Research Abstract |
背景と目的 従来、ストレス時に分泌の増加するグルココルチコイドは、生殖機能に対して抑制的な働きをもつと考えられてきた。しかし、我々は生殖機能維持に必須な黄体形成ホルモン(LH)のパルス状分泌に対して、感染ストレス条件下においてはグルココルチコイドが保護的な役割を果たすことを見出した。本研究では、感染・飢餓・拘束の3種類のストレス刺激を用いて、急性ストレス条件下におけるグルココルチコイドのLHサージとそれに続いて起こる排卵への影響を検討した。 材料と方法 実験には、無処置ラットと副腎摘出(ADX)ラットを用いた。ADXラットには基底レベルの血中コルチコステロン(CS)濃度を維持する目的で、低用量のCSチューブを皮下に埋込んだ。発情前期の12時から21時まで頸静脈留置カニューレより1時間毎に採血を行い、LH濃度を測定した。翌朝、卵管膨大部を観察し、排卵の有無を調べた。感染・飢餓ストレス条件として、リポ多糖(0.5μg/kg)、2-デオキシグルコース(100mg/kg)それぞれを13時に静脈投与した。拘束ストレスとしては、13時から14時まで四肢を緊縛した。ADXラットの一部には、ストレス負荷と同時にCS(25mg/kg)を皮下投与した。 結果と考察 無処置ラットでは拘束ストレス負荷群の一部を除き、全てのストレス条件下で正常なLHサージおよび排卵が観察されたが、ADXラットでは両者とも抑制されていた。しかし、ストレス負荷時にCSを投与することで、LHサージ・排卵ともほぼ完全に回復した。以上の結果から、グルココルチコイドは急性ストレス条件下において、ストレス刺激の種類にかかわらずLHサージおよび排卵を維持する働きをもつことが示唆された。
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