2005 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス条件下の生殖機能制御におけるグルココルチコイドの役割
Project/Area Number |
04J11663
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松脇 貴志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ストレス / グルココルチコイド / 黄体形成ホルモン(LH) / サージ / 排卵 / パルス |
Research Abstract |
【目的】 従来、グルココルチコイド(GC)はストレス時に増加して生殖機能を抑制すると考えられてきた。しかし、我々は腫瘍壊死因子-αによる黄体形成ホルモン(LH)の分泌抑制を、GCが緩和することを見出した。本研究では、GCの生殖機能維持作用のストレス特異性、およびその作用機序を明らかにすることを目的とした。 【方法】 実験には卵巣摘出(OVX)あるいは卵巣/副腎摘出(OVX/ADX)ラットを用い、OVX/ADXラットにはさらにコルチコステロン(CS)あるいはプロスタグランジン(PG)合成阻害剤(インドメタシン)投与群を設けた。感染、飢餓、および拘束ストレスとして、それぞれリポ多糖、2-デオキシグルコースの投与、および1時間の緊縛を行い、パルス状LH分泌ならびに脳内のPG合成酵素(COX-2)の発現に対する影響を検討した。 【結果・考察】 全ストレスに共通して、OVXラットよりもOVX/ADXラットにおいてLHパルスが顕著に抑制された。この抑制はCS投与あるいはインドメタシン投与により解除され、LHパルスは回復した。また、いずれのストレスによっても脳内でCOX-2の発現が見られ、COX-2陽性細胞数はADXにより増加し、CSにより減少した。以上より、PGが各ストレスに共通の仲介物質として生殖機能を低下させること、またGCはPG合成を抑制することにより生殖機能を維持していることが示唆された。
|