2004 Fiscal Year Annual Research Report
MT1-MMP欠損マウスでの細胞外基質分解異常と骨格筋疾患発症との因果関係の解明
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04J11708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
大竹 洋平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨格筋 / MT1-MMP / 細胞外期質 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでの研究においてMT1-MMP欠損マウスにおける骨格筋組織の形態的異常を認めており、本研究においてその発生機序を解明する事を目的としている。本年度の研究においては、骨格筋組織の幹細胞である筋芽細胞の分化機構に注目し、MT1-MMPの機能不全が筋芽細胞の正常な分化を妨げ、その結果として同分子欠損マウス骨格筋の組織構築異常が起こった可能性を評価した。 In vitroでの筋芽細胞分化誘導モデルとしては、同研究分野にて汎用されるマウス由来筋芽細胞株C2C12を用いた。分化誘導刺激に応答し同細胞株は細胞融合を起こし、多核細胞である筋管細胞へと分化した。同分化誘導過程においてMT1-MMPを含む酵素群の分子機能を阻害する複数の阻害物質を添加したところ、筋管細胞の形成が抑制されたことから、MT1-MMPが筋分化機構を促進的に調整する可能性が示唆された。 研究代表者はさらに本阻害実験系を用いることで、筋分化機構を促進的に制御する複数の転写因子群がMT1-MMPを含む一連の酵素群の標的分子として機能している可能性を評価した。筋分化機構を調整する転写因子群としてはMRF分子群、MEF2分子群、およびSRFが知られている。そこで各転写因子の結合DNA配列をTATA box上流に挿入したレポータープラスミドを作製し、阻害剤添加による筋細胞内でのレポーター遺伝子の発現変動を評価した。筋分化に伴って各レポーターコンストラクトは文献的に推測された様式での活性上昇を示したが、同発現上昇は阻害剤添加によって変化を受けなかった。従ってMT1-MMPを含む酵素群による筋分化機構の調整はこれらの代表的転写因子群とは別途の機構によるものである事が示された。 本知見は骨格筋疾患治療において重要と考えられる筋芽細胞分化の新規制御側面を示しており、将来的な人為的分化制御機構の開発において重要な情報をもたらすものと考えられる。
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