2005 Fiscal Year Annual Research Report
MT1-MMP欠損マウスでの細胞外基質分解異常と骨格筋疾患発症との因果関係の解明
Project/Area Number |
04J11708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
大竹 洋平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨格筋 / MT1-MMP / 細胞外基質 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでの研究においてMT1-MMP欠損マウスにおける骨格筋組織の形態的異常を認めており、本研究においてその発生機序を解明する事を目的としている。本年度の研究においては、骨格筋組織の幹細胞である筋芽細胞の分化機構に引き続き注目し、MT1-MMPの機能不全が筋芽細胞の正常な分化を妨げ、その結果として同分子欠損マウス骨格筋の組織構築異常が起こった可能性を評価した。 in vitroでの筋芽細胞分化誘導モデルとしては、同研究分野にて汎用されるマウス由来筋芽細胞株C2C12を用いた。分化誘導刺激に応答し同細胞株は細胞融合を起こし、多核細胞である筋管細胞へと分化した。同分化誘導過程においてMT1-MMPをRNAiにより特異的に発現抑制したことろ筋管細胞の形成が抑制されたことから、MT1-MMPが筋分化機構を促進的に調整することが明らかとなった。また、野生型およびMT1-MMP欠損マウス骨格筋よりそれぞれ回収した組織特異的幹細胞を用いた初代培養系においても、同様の筋分化におけるMT1-MMPの必要性が認められ、その普遍性が確認された。 研究代表者はさらに、筋細胞分化系におけるMT1-MMPの切断基質を細胞外筋分化制御因子として位置付け、その検索を行った。MT1-MMPが生化学的に切断し得る細胞外基質分子を対象とし、各個分子の筋細胞分化系における細胞性切断の有無を評価した。研究代表者はMT1-MMPの機能阻害によりFibronectinの切断が阻害されることを確認し、同分子の添加が筋分化を阻害するとの報告が過去にあったこととあわせ、FibronectinがMT1-MMPによる制御を受ける細胞外筋分化制御因子の実体であると考えている。その分子機構の詳細は特別研究員研究最終年次における研究課題とする予定である。
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