2006 Fiscal Year Annual Research Report
MT1-MMP欠損マウスでの細胞外基質分解異常と骨格筋疾患発症との因果関係の解明
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04J11708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
大竹 洋平 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨格筋 / 細胞外基質 / MT1- / 骨格筋 / 細胞外基質 / MT1-MMP |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでの研究においてMT1-MMP欠損マウスにおける骨格筋組織の形態的異常を認めており、本研究においてその発生機序を解明する事を目的としている。本年度の研究においては、骨格筋組織の幹細胞である筋芽細胞の分化機構に注目し、MT1-MMPの機能不全が筋芽細胞の正常な分化を妨げ、その結果として同分子欠損マウス骨格筋の組織構築異常が起こった可能性を評価した。 In vitroでの筋芽細胞分化誘導モデルとしては、同研究分野にて汎用されるマウス由来筋芽細胞株C2C12を用いた。分化誘導刺激に応答し同細胞株は細胞融合を起こし、多核細胞である筋管細胞へと分化した。研究代表者は前年度までの研究において、同分化誘導過程においてMT1-MMPを含むMMP酵素群の分子機能を阻害した際に筋管細胞の形成が抑制され、同現象はFibronectinの分解阻害と量的相関性があることを認めている。 本年度の特別研究員研究においては、研究代表者はさらに筋分化過程におけるFibronectinの存在様式の変化とそれに対するMMP酵素群の影響について免疫細胞染色による評価を行った。分化誘導初期においてFibronectinは筋芽細胞の周囲に豊富に存在していたが、筋細胞の伸長に伴ってその染色性は著しく消失し、残存した分子は細胞長軸に沿った繊維状の構造体に集積されることが明らかとなった。一方、MMP酵素群の分子機能を阻害した際には前述の繊維状構造体の形成は全く認められなかった。従って、MMP酵素群は筋細胞の分化において細胞伸長の足場となるであろうFibronectinの空間的再編成を促す作用があるものと考えられた。 本知見は骨格筋疾患治療において重要と考えられる筋芽細胞分化を、添加あるいは機能的中和の比較的容易な細胞外因子が制御していることを示しており、将来的な人為的分化制御機構の開発において有用な情報となると考えられる。
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Research Products
(1 results)