2004 Fiscal Year Annual Research Report
リポ多糖を認識する蛋白質MD-2およびTLR4受容体のX線結晶構造解析
Project/Area Number |
04J11715
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大戸 梅治 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自然免疫 / リポ多糖 / エンドトキシンショック / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
グラム陰性細菌感染症に起因するエンドトキシンショックは生命を脅かす非常に重篤な症状であり,その治療薬の開発が待望されている。この症状を引き起こす原因物質であるリポ多糖を認識して,過剰な免疫応答を惹起する自然免疫系の蛋白質としてMD-2とTLR4受容体が同定されているが,リボ多糖認識およびシグナル伝達の分子機構は明らかになっていない。研究代表者は、MD-2およびTLR4蛋白質がリポ多糖を認識して免疫応答を引き起こす機構を三次元構造から明らかにするため,X線結晶構造解析に向けてこれらの蛋白質の大量発現系の構築を進めてきた。 MD-2蛋白質については,ヒトMD-2およびマウスMD-2を酵母Pichia Pastorisを用いて培養液上清に発現させた。ヒトMD-2については,発現させた蛋白質に付加した糖鎖を短鎖化し,カラムクロマトグラフィーにより精製して,結晶化に適した高純度の蛋白質試料を得ることができた。精製したMD-2は大腸菌由来LPS, Lipid AやLipid IVaなどの各リガンドとの結合能を有することを示した。蒸気拡散平衡法による結晶化条件のスクリーニングの結果,ポリエチレングリコールを沈殿剤として微小結晶を得ることができた。 TLR4蛋白質については,ヒトTLR4およびマウスTLR4の細胞外ドメインの遺伝子を組み込んだベクターを作成し,酵母P.Pastorisに導入して発現を試みたが培養液上清に目的蛋白質を得ることができなかった。そこで原因を明らかにするために,N末端およびC末端にタグを付加したヒトTLR4のC末端の欠損体3種類を作成した。
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