2005 Fiscal Year Annual Research Report
ユニークな生化学的性状と発現を示す新規Rasファミリー蛋白質群の包括的解析
Project/Area Number |
04J11725
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田 稔 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / Ras / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
現在までに詳細に検討が進められている既存のRasファミリー蛋白質は、細胞外からの刺激に応答したシグナル伝達のON/OFFを担う制御因子として重要な役割を果たしている。私はこのようなRasファミリー蛋白質の重要性に着目し、Rasとの相同性を用いたヒトゲノムデータベースのスクリーニングを行うことで複数の新規Rasファミリー蛋白質を同定した。これらは一次構造上、既存のRasとは異なるユニークな特徴を有しており、特異的な情報伝達経路に関与することが期待される。 本年度はこれら新規蛋白質群のうち、その発現臓器が脳と心臓に限局し細胞内で主にGTP結合型で存在するという特性を有するDi-Ras(A Distinct subgroup of Ras family GTPases)について以下に示す知見を得た。 1)マウス神経芽腫由来の細胞株であるNeuro 2a細胞にDi-Rasを過剰発現することでカスパーゼの活性化を介して、DNAの断片化を伴う細胞死の亢進がおこることを見出した。 2)この細胞死誘導は神経系由来の細胞株に特異的であり、Ha-Rasの活性化時に見られる自喰変性様の細胞死とは異なるシグナル伝達経路を介している可能性があることが明らかにした。 現在は、酵母Two-hybridスクリーニングによって同定したDi-Rasの相互作用因子の解析を通じて、Di-Rasの過剰発現時に見られる神経細胞死の詳細な分子メカニズムの解明を目的に実験を進めている。
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