2005 Fiscal Year Annual Research Report
広範な昆虫・動物への遺伝子導入を可能とするウイルス介在型LINEの研究
Project/Area Number |
04J11745
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 朋子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 昆虫 / 転移因子 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本年度は、これまで用いてきたテロメア特異的LINEのほかに28SリボソーマルRNAコード領域に転移するLINE(R1)を利用した組み換えウイルスを作製し、転移性を明らかにした。組み換えR1ウイルスをカイコ個体に注射し、感染個体のゲノミックDNAの解析を行なった結果、脂肪体では感染72時間後から標的特異的な転移を確認した。さらに脂肪体以外でも血球細胞、脳、精巣、卵巣、中腸、絹糸腺など解析した全ての組織において転移と外来遺伝子の挿入を確認した。一過性の外来遺伝子発現系では、カバーできないと報告されてきた脳や生殖細胞についても、本ウイルス介在型LINEを用いた系により、遺伝子導入が可能であることが示された。また転移のジャンクションのシーケンスを行い、外来配列を挿入したR1であっても内在R1と同一の標的配列に転移することを明らかにした。また新しい品種を用いてウイルス感染カイコの致死性をまとめた。その結果、品種間で致死に至るタイターが少なくとも10の6乗倍の差で異なったため、カイコにはバキュロウイルスの感染性について大きな多様性が存在することが明らかになった。 また系統的に離れたヒト細胞での応用を視野に入れ、カイコ由来LINEの温度特異性を確認した。まず、本来の環境(カイコ体温)より10度以上高い37度条件下で、カイコ培養細胞を用いてウイルス感染による転移実験を行った結果、本来の場合と同様、感染72時間から転移を確認した。これらの結果から、ヒト細胞37℃条件で、濃縮ウイルス、またはトランスフェクションを用いたLINE導入を試み、現在までに昆虫細胞同様、ORF1から3‘UTRまで全長の発現を確認した。
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