2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11750
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Research Fellow |
菅原 彩絵 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 有機-無機ハイブリッド材料 / ナノゲル / リン酸カルシウム / ナノ粒子 / ドラッグデリバリーシステム / ヒドロキシアパタイト / アモルファスリン酸カルシウム / 疎水化多糖 |
Research Abstract |
疎水化多糖が水中で自己組織的に形成する粒径30mm程度のナノ微粒子"ナノゲル"は疎水性薬物やタンパク質、核酸のキャリアーとして機能することが秋吉らにより報告されている。一方、リン酸カルシウムは哺乳類の硬組織を構成する主要な無機成分であり、生体適合性マテリアルとして注目されている。本研究では、ナノゲルとリン酸カルシウムとを複合化させることにより、新規有機-無機ハイブリッドナノ粒子を作製することを目的とした。ハイブリッド化により、ナノゲル内の物質の放出制御や骨欠損部位への選択的な薬物デリバリーなど、ドラッグデリバリーシステムにおける応用が期待される。 ナノゲルを形成させる疎水化多糖として、プルランにコレステリル基を導入したコレステロール置換プルラン(CHP)、およびCHPにカルボキシル基を導入したCHPのカルボン酸誘導体(CHP-COOH)を用いた。CHPまたはCHP-COOHを超純水に分散させたのち超音波処理を行うことによりナノゲルを調製した。これらのナノゲルの存在下でリン酸カルシウムの形成を行った。得られた粒子の構造解析を、透過型電子顕微鏡観察、および赤外吸収スペクトル測定により行った。ナノゲル非存在下においてはプレート状のヒドロキシアパタイト(HAp)結晶の凝集体が得られた。一方、CHPナノゲルの存在下では粒径500nm程度の比較的分散したHAp微粒子が形成した。また、CHP-COOHナノゲルを含む溶液からは、粒径100nm以下のアモルファスリン酸カルシウムナノ粒子の形成が見られた。ナノゲル存在下で得られた粒子の赤外スペクトル測定から、リン酸カルシウムとCHPまたはCHP-COOHが複合体を形成していることが確認できた。ナノゲルの官能基がリン酸カルシウムの結晶化プロセスに作用し、ハイブリッドナノ粒子を形成しうることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)