2004 Fiscal Year Annual Research Report
テーラーメード抗がん剤を目指したピロールイミダゾールポリアミド・アルキル化剤
Project/Area Number |
04J11786
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Research Fellow |
成田 暁彦 東京医科歯科大学, 大学院疾患生命科学研究部, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ピロール-イミダゾールポリアミド / 配列特異的DNAアルキル化 / 遺伝子発現制御 / テーラーメード抗がん剤 |
Research Abstract |
今年度の研究の進展により、固相合成法と組み合わせたアルキル化ヘアピン型ポリアミドの実用的な分子設計と合成経路の確立に成功した。新しい分子設計に基づいて合成したアルキル化剤は、まだ認識能に改善の余地が残っているものの、10塩基対を認識し効率的なアルキル化を可能にした。 実際に、アルキル化ポリアミドを用いて、がんの分子生物学的知見に基づいたターゲティングを行い、遺伝子機能(mRNAへの転写、蛋白質への翻訳)に与える効果や塩基配列特異的アルキル化との関連性を評価した結果、標的とする塩基配列をタンパク質の遺伝情報が集約されているコーディング領域に設計することに成功した。従って、蛋白コード領域を標的配列としたmRNAやタンパクの発現制御は、アルキル化ポリアミドの配列特異的アルキル化によって実現する可能性があることを提案した。 また、ヒト肺ガン細胞に対する発現に対する効果を、強い抗細胞活性を示したアルキル化ポリアミド分子を用いた結果、2種の異なる配列特異性をもつアルキル化ポリアミド分子に対して、配列特異性の差異に由来する興味深い細胞増殖阻害活性の変化と遺伝子の制御が観察された。 メサンギウム細胞を使ったポリアミド分子の細胞および核への透過性の確認も進んでおり、配列特異的DNAアルキル化剤としての分子設計の最適化がほぼ完結した。現在、これまでに得られた情報を総合的に解析し、特定がん細胞に対し特異的に作用する目的のテーラーメード抗がん剤に活かすための生物学的応用を試みている。
|
Research Products
(3 results)