2006 Fiscal Year Annual Research Report
二本鎖DNA切断修復系及び塩基除去修復系の連係と欠失及び挿入型変異の関連
Project/Area Number |
04J11804
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
柴田 淳史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Poly(ADP-ribose)polymerase-1 / Nonhomologous end joining / Homologous recombination / DNA double strand break / Parp-1 / NHEJ / DSB |
Research Abstract |
ParpのDSB修復への関与を検討するため、2006年4月よりDSB修復研究の権威である英国サセックス大学Prof.Penny Jeggo研究室において研究を行った。 Jeggo研究室では、DSB切断後にリン酸化され細胞内でフォーカスを形成するH2AXをDSBのマーカーとして用いている。放射線照射後にリン酸化H2AX(γ-H2AX)の抗体を用い免疫蛍光染色した後、γ-H2AX fociを計測することによりDSBの絶対数を評価する。Parpファミリーの中でもParp-1及びParp-2がDNA切断端に結合し活性化されることが知られているため、本研究では双方の活性を阻害するParp阻害剤を用いてNHEJへの関与を検討した。放射線照射後のDSBは、G1期においてNHEJのみで修復されることが知られているため、G1期に同調後、放射線照射後のγ-H2AX fociを計測した。DNA-PK、Ku80及びDNA ligaseIV欠損細胞では顕著なγ-H2AX fociの消失遅延が認められたが、野生型細胞に対するParp阻害剤の添加ではγ-H2AX fociの消失遅延は認められなかった。DNA-PK、Ku80及びDNAligaselV欠損細胞にParp阻害剤を添加したところ、Ku80欠損細胞においてのみ放射線照射後のγ-H2AX fociの消失が全く認められなかった。NHEJに関与することが近年発見されたXLFの欠損細胞に対してParp阻害剤の効果を検討した。XLF欠損細胞はγ-H2AX fociの消失遅延を示すが、Parp阻害剤の添加はさらなる遅延を示した。以上の結果から、Parp阻害剤はKu80及びXLF欠損下におけるDSB修復を抑制したため、DSB後のParpの活性化はKu80及びXLF欠損下でのNHEJのバックアップ経路を促進している可能性が考えられた。
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