2004 Fiscal Year Annual Research Report
古代メソポタミアにおけるシュメル語祈祷シュイラの研究
Project/Area Number |
04J11820
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Research Institution | University of Tsukuba |
Research Fellow |
柴田 大輔 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際研究者交流 / メソポタミア / 楔形文字文書 / 祈祷 |
Research Abstract |
今年度は、研究計画通り欧米の諸博物館に所蔵されている粘土板文書の調査に重点的を置いた。4月より8月までは昨年度諸博物より取り寄せた粘土板文書写真を基に可能な範囲で文書を解読し、各文書のローマ字翻字と楔形文字書写の下書きを作成。9月1日よりヨーロッパに長期出張。ハイデルベルク市を拠点にし、以下の博物館にて調査を行う。括弧内の日付は滞在日。パリ市、ルーブル美術館(10月17-21日)。ニューヘイヴン市、イェール大学バビロニアンコレクション(10月24日-31日)、ニューヨーク市、メトロポリタン美術館(11月1日-3日)、ロンドン市、大英博物館(11月14日-27日、12月17日-24日)、オックスフォード市、アシュモレアン博物館(12月13日-16日)。博物館における調査は次の二つに大別される。(1)既に他の研究者によって出版された楔形文字書写、並びに研究代表者が写真を基に作成した文書のローマ字翻字と楔形文字書写を現物と校合。(2)大英博物館ならびにイェール大学ではキュレーターの協力を得ることにより博物館所蔵の未公刊未解読シュメル語文書を検査。その結果、BM62922(大英博物館)をはじめとする三枚の重要な新写本と数十点の関係文書(部分的並行文書など)を発見。検査した文書については、許可を得た上でデジタルカメラによって撮影も行った。新写本に関しては、ローマ字翻字と襖形文字書写を作成。上記(1)の調査は全て完了。(2)の調査については来年度も大英博物館にて続行。拠点としたハイデルベルク市においては、ハイデルベルク大学西アジア言語文化学科の専門図書館を活用し、主として文書の解読、祈祷文句の復元、文献学的注釈の作成、そして上記博物館における調査のための準備に取り組んだ。
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