2005 Fiscal Year Annual Research Report
GHQ占領期における日本文学・演劇の研究:近年のメディア研究の成果を踏まえて
Project/Area Number |
04J11827
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
日比 知幸 (天野 知幸) 同志社大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本近代文学 / 演劇 / 「プランゲ文庫」 / メディア / 占領期 / 検閲 / 田村泰次郎 / 「引揚」 |
Research Abstract |
「大衆」読者層に最大の影響力を持った雑誌『キング』と、そこに掲載された天狗太郎の「講談噫無情」、およびラジオドラマ「噫無情」を分析し、『キング』の戦略、作品のメッセージ性、メディアと「大衆」の関係について論じた(『大衆文学の領域』大衆文化研究会編、2005年6月に発表)。また、国立国会図書館憲政資料室所蔵「プランゲ文庫」の田村泰次郎、坂口安吾、「肉体文学」に関する資料、および三重県立図書館田村泰次郎文庫所蔵の田村泰次郎に関する資料の蒐集、分析を行い、それをまとめた研究成果を、2005年9月24日に坂口安吾研究会(於:花園大学)にて、また、10月22日に日本近代文学会秋季大会(於:國學院大學)にて口頭発表した。前者(「噴出し、浮遊するセクシュアリティ:「戦争と一人の女」と<肉体文学>」)では、坂口安吾の小説「戦争と一人の女」の検閲状況、セクシュアリティ表象やメディアにおける「肉体文学」の消費について論じた。また、後者(「<慰安婦>表象と田村泰次郎:その問題の射程」)では、田村泰次郎の小説「情婦」を扱い、戦後、いかに「外地」の「娼婦」が表象されたのかを論じ、作品の現代的意義を考察した。さらに、同じく「プランゲ文庫」の「引揚」に関する資料を蒐集、調査、分析し、その研究成果を、2006年3月11日に佛教大学総合研究所「京都・近代文学班」の研究会にて口頭発表(「戦争の<記憶>と京都」)した。ここではシベリアからの「引揚」表象について論じた。加えて、三島由紀夫の戯曲「聖女」、雑誌『夫婦生活』を分析し、被占領下における娼婦、夫婦の表象について考察した(『昭和文学研究』に投稿、3月受理)。
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Research Products
(1 results)