2006 Fiscal Year Annual Research Report
GHQ占領期における日本文学・演劇の研究:近年のメディア研究の成果を踏まえて
Project/Area Number |
04J11827
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
日比 知幸 (天野 知幸) 同志社大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 戦後文学 / 戦後演劇 / プランゲ文庫 / 記憶 / 引揚 / 日本軍「慰安婦」 / 田村泰次郎 / 坂口安吾 |
Research Abstract |
前年度から引き続き、国立国会図書館憲政資料室所蔵のプランゲ文庫を調査、分析するとともに、これまでの研究成果を広く公開した。論文「「救済」される女たち-被占領下で観られた「肉体の門」」では、国立国会図書館、三重県立図書館所蔵の資料をもとに、大衆向けの演劇および映画に対する検閲の実態の例、そこに反映されるイデオロギーについて明らかにした。論文「<肉体>の増殖、欲望の門-田村泰次郎「肉体の門」の受容と消費」では、当時の大衆文化のありようを明らかにすべく、「肉体の門」の受容や当時の大衆の欲望のありようを実証的に論じた。論文「<肉体>の思考が撃つもの-「戦争と一人の女」」では、坂口安吾の作品をもとに検閲の実態や戦後文学のありようを論じた。論文「<記憶>の沈潜と二つの<戦争>-引揚・復員表象と西條八十」では、西條八十の詩と婦人雑誌『主婦之友』の分析から、「引揚」言説が朝鮮戦争やアメリカの動向と密接な関係性を有していること、またそれが一般大衆向けの言説にも共通していることを明らかにした。調査面では、占領下の文学、演劇に加え、戦後文化における日本軍「慰安婦」の表象の実態を明らかにすべく、プランゲ文庫および国立国会図書館憲政資料室所蔵のCIE文書の調査、分析を行った。この研究成果については、日本近代文学会関西支部秋季大会にて口頭発表し、その後、論文「田村泰次郎「春婦伝」と記憶をめぐるポリティクス-日本軍「慰安婦」を語ることばが伝えるもの」にまとめた。2007年1月にはアメリカ議会図書館にて、日本文化に対する占領政策の資料を調査、収集した。
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