2004 Fiscal Year Annual Research Report
ソロモン諸島における慣習的資源利用制度を活用した地域発展の検討
Project/Area Number |
04J11838
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 求 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ソロモン諸島 / ガトカエ島 / ビチェ村 / 慣習的資源利用 / 地域発展 / コモンズ / 商業伐採 / 開発 |
Research Abstract |
本研究は、商業伐採による地域社会の混乱を経た住民が、新たに導入した開発の中で構築しつつある地域独自の資源利用制度が地域発展に果たす有効性について、検討することを目的としている。この目的のもと、ソロモン諸島の政策における慣習的資源利用制度の位置付けを把握するべく、資料収集を行うとともに論文の投稿を行った。 さらに博士課程時に収集した、ガトカエ島における慣習的な資源利用制度とその動態に関するデータの分析を2004年10月まで行い、論文の執筆を進めた。その結果、慣習的資源利用の動態を20世紀初頭にまで遡って把握することが、ガトカエ島の慣習的資源利制度の形成過程を把握するうえで不可欠であることが明らかになった。 そのため、2004年11月から2005年1月までガトカエ島に滞在し、補足調査を行った。博士課程時に長期調査を行ったビチェ村において、慣習的資源利用に関する補足調査を行うとともに、商業伐採に代わって導入された製材販売に関する調査を行った。その結果、製材販売が2003年に終了し、2004年3月に再び商業伐採契約を締結したことがわかった。住民との話し合いの結果、一部の住民によって商業伐採契約が締結され、多くの住民が商業伐採の導入に反対していること、さらに商業伐採賛成派であった住民も、商業伐採にともなう伐採権料の分配が契約内容どおりに進まない可能性が高いことから、商業伐採を中止したいと考えていることがわかった。そこで、研究計画の2年目に他の3村と同時に進める予定であった参加型アクションリサーチを、ビチェ村のみ先に行うこととした。住民との協議の結果、年齢性別を問わず参加できる漁労を基にした魚販売を始めるとともに、商業伐採契約の破棄を決定した。都市部の市場での魚販売は、1月18日から始まり、漁労および利益の分配方法などにおける既存の慣習との接合可能性に関する調査を行った。またその他の3村については、商業伐採に代わる新たな開発の導入状況と慣習的資源利用に関する調査を行った。2005年2月から3月までは、新たに把握したデータの分析と論文の執筆を行った。
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