2005 Fiscal Year Annual Research Report
ソロモン諸島における慣習的資源利用制度を活用した地域発展の検討
Project/Area Number |
04J11838
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 求 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ソロモン諸島 / ガトカエ島 / ビチェ村 / 慣習的資源利用 / 地域発展 / コモンズ / 商業伐採 / 開発 |
Research Abstract |
本研究は、外国資本による大規模な森林伐採(以下、商業伐採)による地域社会の混乱を経た住民が、新たに導入した開発の中で構築しつつある地域独自の資源利用制度が地域発展に果たす可能性について、検討することを目的としている。この目的のもと、近代的医療設備の整っていない離島地域に多くの人々が暮らしているソロモン諸島において、地域発展に重要な役割を持つ医療活動全体に置ける民間医療の位置付けとその慣習的利用制度の動態について、論文の投稿を行うとともに、2005年6月には日本熱帯生態学会において学会発表を行った。 2005年7月から9月および11月から2006年1月にかけてソロモン諸島ガトカエ島に滞在し、博士課程時に長期調査を行ったビチェ村において、2005年1月から開始した商業伐採に代わる収入源としての魚販売プロジェクトの推進、商業伐採後、地域社会の混乱が続いているサゲオナ村、ペンジュク村、ペアヴァ村、ソンビロ村において、土地紛争および慣習的資源利用制度の動態に関する聞き取り調査を行った。とくに共同での漁労、魚販売利益の分配を行ううえで重要な相互扶助制度の変容状況に関する調査を行った結果、コミュニティとしてのまとまりがかなり弱まっている4村については、魚販売プロジェクトの導入が困難であること、とくに土地紛争が頻繁に生じているペンジュク村では、何らかのプロジェクトを導入するために大きな困難がともなうこと、サゲオナ村、ペアヴァ村、ソンビロ村については、2004年以降増加しつつある旅行者を対象としたエコ・ツーリズムを進めていける可能性があることを把握した。 2005年2月から3月にかけては、2006年内に発刊予定の『コモンズ論の新たな地平:自然資源管理への示唆』(新曜社)の担当章の執筆、同じく近刊予定の『フィールド研究者の挑戦:葛藤から見えてくるもの』(世界思想社)の担当章の執筆を行った。
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