2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J11889
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳澤 明子 (村山 明子) 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | IL-2 / ゲノムメチル化 / ヒトCD4+Tリンパ球 / RNAi |
Research Abstract |
DNAメチル化修飾は、ヒストンのメチル化・アセチル化・リン酸化修飾と同様、「エピジェネティックな情報」のひとつとして注目され、細胞の分化方向の決定づけやインプリンティング、X染色体の不活性化機構に関与している。また、DNAメチル化異常が、癌化や先天性疾患などの病気に関わることも明らかになってきた。しかしながら、DNAメチル化脱メチル化の制御機構やその意義については不明な点が多く残されている。 そこで、本研究ではゲノムDNAのメチル化状態による遺伝子発現調節機構を解明することを目的とし、IL-2遺伝子を用いて解析を進めた。マウスTリンパ球ではIL-2遺伝子プロモーターが非メチル化状態にあるときIL-2の分泌が認められる。我々はヒトTリンパ球細胞株Jurkat細胞および臍帯血から取得したヒトCD4+Tリンパ球においても同様の現象が認められることを確認した。しかし、マウスと異なりヒトではIL-2遺伝子プロモーター-252bpのCpGのみが特異的に非メチル化していることを初めて明らかにした。この-252bpのCpGは、転写因子であるOct-1の結合領域内に存在し、メチル化によってOct-1の結合が阻害され、転写活性の抑制を認めた。次に、RNAiを用いてCpGメチル基導入を検討した結果、bisulfite sequencing法によりCpGメチル基導入が確認された。その際、CpGメチル基導入Jurkat細胞ではIL-2遺伝子の発現抑制が認められた。これらの結果から、ヒトでは一つのCpGのメチル化状態によって、IL-2遺伝子発現が調節されていることが示唆された。また、部位特異的なメチル化をRNAiを用いて人工的に挿入することが可能となった。 今後はより詳細にIL-2プロモーターメチル化パターンの維持機構を解明していくとともに、個体レベルでRNAiを用いた遺伝子操作を行い、メチル化状態を変化させることによる影響について検討していきたい。これにより、病因解明および遺伝子治療への応用が期待される。
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Research Products
(2 results)