2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジョセフソン接合列での急速な量子相転移における自発的対称性の破れの観側
Project/Area Number |
04J11965
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 久生 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジョセフソン接合 / 超伝導原子ポイントコンタクト / 電流-位相関係 / メカニカルブレークジャンクション法 |
Research Abstract |
ジョセフソン接合列での急速な量子相転移(超伝導-絶縁体転移)を実現するため,希釈冷凍機中でのメカニカルブレーク接合(MBJ)法を動作させるための機構を開発し,高制御・高安定かつ広範囲(切断〜トンネル接合〜原子ポイントコンタクト〜バルクなコンタクト)に可変な金属接合を実現した.さらに,この実験の目的である,急速な量子相転移による自発的対称性の破れを観測するためには,複数のMBJの結合・切断のタイミングをそろえる必要がある.しかし,実際に試験的に複数の接合の結合・切断のタイミングを観測してみると,そのタイミングをそろえることは非常に困難であることがわかった.そこで,上記のMBJ法を利用した超伝導原子ポイントコンタクトにおいて,ジョセフソン接合の基礎的な特性である電流-位相関係を調べる実験を行った.理論的には,超伝導原子ポイントコンタクトの電流-位相関係は,コンタクトにおける電子の透過率をパラメーターとして予測されており,透過率が大きい場合は通常の場合のsin型から外れると予想されている.しかし,実験的にはその定量的な評価は十分にはなされていない.我々の方法は,超伝導体(Al)のMBJとトンネル接合(Al/AlOx/Al)からなるdc-SQUIDを作製し,その電流-電圧特性からポイントコンタクトのミクロな評価(透過率の決定)をし,最大超伝導電流の磁束依存性から,電流位相関係を決定するというものである.この方法によって,今まで調べられていなかった,ミクロな特性のわかった複数の超伝導ポイントコンタクトの電流-位相関係を調べることができた.そして,その電流-位相関係は理論の予想通りの非sin型のものであったが,大きさは理論の予想よりも小さく,コンタクトの抵抗が大きい(約2kΩ以上の)領域では理論の約0.5倍であった.
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Research Products
(1 results)