2004 Fiscal Year Annual Research Report
結晶構造解析と蛋白質工学による好アルカリ性アミラーゼ系酵素の活性発現機構の解明
Project/Area Number |
04J12015
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金井 隆太 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物情報解析研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | α-アミラーゼ / 結晶構造解析 / 好アルカリ性 / 酵素反応 / 基質結合 / 触媒残基 |
Research Abstract |
広範囲なpH領域(5.5-11)で活性を示すシクロデキストリン合成酵素(CGTase)について、pH依存性の変化を示す変異型酵素R227Q-,K232Q-,H327N-,D371N-,R375Q-CGTaseの単独構造、阻害剤アカボース複合体の結晶構造をそれぞれ決定した。このうち、R227Q-,H327N-CGTaseでは、触媒残基側鎖の配向が変化しており、本酵素においてArg227,His327は触媒残基構造を形成することに直接関わり、その構造が広範囲なpH領域での活性維持に重要であることが推定された。そのほかの変異型酵素では触媒残基自体の構造は野生型に比べて変化していなかったことから、Lys232,Asp371,Arg375は触媒残基の構造形成に関わっていないが、静電的に触媒残基のプロトンの解離/結合状態に影響している、と考えられた。 好アルカリ性マルトヘキサオース(G6)生成アミラーゼについて、そのG6複合体の結晶構造を決定した。その結果、G6は結合部位サブサイト-7から-2に結合していることが明らかになった。このことは本酵素が他のα-アミラーゼと異なり、そのような非生産的結合によってG6分解が抑制されていることを示唆している。特にサブサイト-6から-4のグルコース残基の電子密度は強く、それらのサブサイトを構成しているLys72,Trp140,Asp166が非生産的結合に重要であると推定された。また、マルトヘプタオース(G7)分解反応のキネティクスの解析より、G7→G1+G6、G7→G2+G5のような分解反応におけるG7のKmはおよそ3-9mMであるのに対し、G7→G3+G4の分解反応におけるG7のKmは約20mMであった。このことは本酵素のマルトヘキサオース生成がサブサイトの基質に対する結合親和性によって決まっていることを示唆している。
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