2006 Fiscal Year Annual Research Report
児童の抑うつ症状に影響を及ぼす認知的情報処理過程の検討と認知療法プログラムの開発
Project/Area Number |
04J12063
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
佐藤 寛 宮崎大学, 教育文化学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 児童 / 抑うつ / 認知行動療法 / 認知療法 / 情報処理過程 |
Research Abstract |
昨年度までに,児童の抑うつ症状の維持を説明する認知的情報処理過程を記述する認知モデルの構築と妥当性の検証を行ってきた。一般の児童を対象とした調査研究によって,児童の抑うつ症状は「認知構造」→「認知操作」→「認知結果」→「抑うつ症状」というプロセスによって維持されていることが示されている。本年度は,これまでに構築されたモデルの妥当性が臨床レベルのうつ病の子どもにも該当するかという点について検討を行っている。加えて,認知モデルに基づいた認知療法プログラムを用いた介入研究を行い,児童の抑うつ症状の低減効果と予防効果について検証した。 プログラムは学校の授業時間を利用し,小学5〜6年生の児童155名を対象として実施された。1セッション45分×9回の認知療法プログラムを実施し,ブログラム前後の抑うつ症状と認知変数の変化を検討した。ブログラムには,昨年度までに構築された児童の認知モデルに基づく認知的介入が取り入れられた。分析の結果,認知療法プログラムに参加した児童は抑うつ症状が有意に改善していることが示された。また,このプログラムに参加することで,ネガティブな認知にも改善効果が認められた。 以上の結果から,本研究で構築された児童の抑うつ症状を説明する認知モデルは,臨床的な妥当性も有していることが確認された。プログラムに参加した対象者には今後も追跡調査を実施し,長期的な抑うつ予防効果についても検証していく予定である。
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Research Products
(4 results)