2005 Fiscal Year Annual Research Report
V族混晶窒化物半導体自己組織化量子ドットと完全配列化
Project/Area Number |
04J12079
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大島 隆治 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子線エピタキシー / 量子ドット / GaAs / 自己組織化 / 多重積層化 / III-V-N族化合物半導体 / InAs / 原子状水素 |
Research Abstract |
本研究では、原子状水素援用RF分子線エピタキシー(MBE)法を用いて、光通信用1.3μm,1.55μm帯で発光する高品質なGaAs基板上自己組織化量子ドットの作製を行っている。現在、自己組織化量子ドットの作製技術において、長波長発光化、及び活性層体積の増加を目的とした多重積層化技術の確立が急がれている。 量子ドットの多重積層構造へのアプローチとして、InP基板上InAs量子ドットでは歪み補償の概念を利用し、InPの格子定数よりも小さいInAlGaAsを中間層材料に用いることによる多重積層化が行われている。しかしながらGaAs基板を用いた場合、従来の材料系ではGaAsよりも格子定数が小さい適当な材料がなく、多重積層化の際に量子ドットで蓄積された圧縮歪みが残留し、転移の発生や量子ドットサイズが増大する原因となることが問題となっていた。その解決策として、本研究ではGaAsに希薄窒素を導入した系であるGaNAsを歪み補償中間層に採用している。GaNAsはNの組成によって任意のGaAsよりも小さい格子定数に設定することが可能であり、GaAsよりもバンドギャップが小さいために長波長領域かつ多重積層化が可能となることが期待される。 これまでに、GaAs(001)基板上InAs量子ドットの多重積層化について研究し、GaNAsを歪み補償中間層として用い、GaNAs中のN組成を最適化することによって、通常の作製技術では困難な30層以上のInAs自己組織化量子ドットの多重積層化に成功したことを原子間力顕微鏡(AFM)、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて確認した。また、中間層材料をGaNAsにしたことによる長波長発光化が可能であることについてフォトルミネッセンス(PL)測定を用いて調べた。今後は、確立した技術を用いてレーザ素子などのデバイス構造を作製する予定である。
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