2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J12124
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Research Institution | University of Tsukuba |
Research Fellow |
鈴木 隆史 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Nrf2 / セレン欠乏 / 酸化ストレス / selenoprotein / selenocysteine tRNA |
Research Abstract |
酸化ストレス防御に働くグルタチオンペルオキシダーゼや、チオレドキシンン還元酵素などの酵素群は、セレン(Se)を含むタンパク質(Selenoprotein)である。そのため,Se欠乏状態では,Selenoprotein合成の不足から酸化ストレス応答機構が破綻し,様々な病的状態が招来される。一方、同状態では,グルタチオンS-転移酵素やキノンレダクターゼなど,転写因子Nrf2の標的遺伝子である生体防御遺伝子群が誘導されることから、Nrf2制御系による代償的生体防御機構が示唆された。これを明らかにするために,Se欠乏状態に類似したSelenoprotein群系全般の機能低下状態を創出し,Nrf2制御系の動態を検討した.SeはSelenocysteine(SeCys)残基として存在しており,Selenoproteinの合成にはSeCys-tRNAが必須なので,SeCys-tRNA遺伝子破壊により全Selenoproteinの欠失を試みた。しかしながら、同tRNAの完全欠損マウスは胎生3.5日で致死なので、生体におけるNrf2制御系の貢献を明らかにできなかった。そこで、Cre-loxPシステムを利用した条件付きSeCys-tRNA遺伝子破壊マウスを作製し、Nrf2制御系の貢献が明らかにされているマクロファージにおいて特異的にSeCys-tRNA遺伝子を破壊した.その結果,Selenoproteinの減少・消失,活性酸素種の増加,それに伴うNrf2制御系の活性化がマクロファージにおいて観察された.これは,Selenoproteinの減少により細胞内酸化ストレスが増大し,それに応答してNrf2が活性化され、生体防御遺伝子群を誘導したものと考えられる.この結果から,酸化ストレス防御におけるSelenoprotein群系とNrf2制御系には機能的相互作用が存在することが確認された.
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Research Products
(2 results)