2004 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の免疫機構に関与するサイトカイン、特にTNFおよびFasリガンドの機能解析
Project/Area Number |
04J12153
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
黒部 智史 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, DC2
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Keywords | ヒラメ / 自然免疫 / Fasリガンド / アポトーシス / 腫瘍壊死因子 / 遺伝子 / サイトカイン / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本年度は、ヒラメFasリガンド遺伝子のクローン化を行なうと共に組換えタンパク質を作製して機能解析を行なった。さらに、ヒラメのシグナル伝達経路の解明を目的としてマイクロアレイ法を用いた遺伝子発現解析を行なった。 クローン化したヒラメFasリガンドcDNAの全長は1,016bpで、230アミノ酸をコードしていた。ヒラメFasリガンドの細胞外領域において、ジスルフィド結合を形成し活性に関与する2つのシステイン残基が存在した。ヒラメFasリガンドの推定アミノ酸配列は、ヒトのものと、26.1%の相同性を示した。ヒラメFasリガンド遺伝子の全長は約1.7kbであり、ヒトのFasリガンド遺伝子と同様に4エキソンおよび3イントロンより構成されていた。Fasリガンド遺伝子はヒラメの12種類の組織(筋肉、表皮、心臓、鰓、卵巣、腎臓、胃、脳、脾臓、腸、肝臓、胸腺)の内、腎臓および胸腺において発現が見られた。ヒラメFasリガンド組換えタンパク質を大腸菌発現系により作製し、ヒラメ由来の培養細胞を用いて機能解析を行なったところ、2.0μM以上の濃度で細胞傷害活性を示した。 マイクロアレイ法による解析を行なうにあたり、92種類の免疫関連遺伝子を含む871種類のクローンがスポットされたヒラメDNAチップを作製した。マイトジェン(Concanavalin A : Con A、Phorbol myristate acetate:PMA、Lipopolysaccharide:LPS)刺激下あるいはヒラメラブドウイルス(Hirame rhabdovirus ;HRV)感染下にて遺伝子の発現変化を解析したところ、それぞれ特徴的な遺伝子の発現様式が見られた。Con Aによる刺激では発現変化した遺伝子数はほとんど見られなかったものの、PMAによる刺激ではアポトーシス制御因子であるEaly growth response protein II、c-Fos、Jun-B遺伝子等の発現上昇が確認された。LPSの刺激では炎症関連因子であるChemokine receptor、Collagenase、Interleukine-1β、Lctate dehydrogenase A等の遺伝子において発現量の上昇が認められた。HRVの感染では、細胞性免疫に関与するMHC class IIやNK cell enhancing factorの遺伝子発現が含まれた。その他、Heat shock protein 70や90、CD83 antigen、Map kinase interacting kinase I等の遺伝子の発現が誘導された。さらに、マイトジェンの刺激あるいはHRVの感染後特異的に発現上昇する機能未知遺伝子が19種類見られた。
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Research Products
(1 results)