2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J12163
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
安藤 雅和 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | maximum asymptotic bias / robust regression estimates / S-estimates / τ-estimates / containation neighborhoods / heteroskedasticity / nonnormality / skewness and kurtosis |
Research Abstract |
本年度は、計量経済学および金融工学・数理ファイナスに関する理論を学び、この分野での統計解析法の役割や問題点を探ってきた。経済・経営の諸問題に適用される統計手法のひとつに回帰手法があるが、実際に分析に用いるとき、その多くは回帰モデルの誤差項には正規性を仮定し、その仮定の下で有効な推定法である最小2乗法を用いた回帰係数の推定が行われている。しかし、事前におかれた仮定が完全に満たされる状況は少なく、仮定からのズレに対して最小2乗法は有効ではない(頑健ではない)。そこで、仮定からのズレに対してどの程度影響を受けるのかを、回帰推定量の漸近分散への影響の度合いを測ることによって示すことにした。ひとつは、Mardiaが提案した多変量尖度・歪度を用いて非正規性の大きさと漸近分散との関係を導き出したことであり、もうひとつは、具体的にモデルを想定して、様々な推定法(bootstrap法等)を用いたシミュレーションを通して、仮定からのズレによる影響を探ることができた。 また、仮定からのズレに対して影響をあまり受けない、ロバスト回帰推定量についても取り上げた。特に、ロバスト回帰推定法のなかでもbreakdown pointが高く(最大0.5)、漸近効率も高いτ-推定量に注目し、モデル分布からのズレを表すcontamination近傍を一般化した、(c,γ)-contamination近傍上でのτ-推定量の最大バイアスの上界と下界を導出し、モデル分布が正規分布の場合の最大バイアスを評価した。より広いクラスの近傍上でもHuber score functionを用いた場合が有効であることを示した。
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