2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの腎形成におけるWntシグナル及びSall遺伝子の分子機構の解析
Project/Area Number |
04J50261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 寛基 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 腎臓 / Sall1 / Six1 / Six4 |
Research Abstract |
腎臓形成におけるSall1遺伝子とWntシグナルの機能を解析する為に、Sall1の上流であることが示唆され、Wntシグナルの制御に関わる因子がファミリーの中に存在するSix遺伝子に注目して研究を行っている。Six1遺伝子のノックアウトマウスは腎臓が欠損した表現型を示す事が知られている。Six1遺伝子の腎形成における役割の内、何がSall1遺伝子によって担われているかを調べる為に、Six1遺伝子の配座にSall1遺伝子を挿入したSix1Sall1ノックインマウスを作成し、Six1Sall1KIホモのマウスの腎臓の表現型について調べた。結果、ホモの個体の約20%が外見上、野生型と同等の腎臓をもつものが得られ、Six1KOマウスの腎臓における異常の弱い緩和が観察された。Sall1は、腎形成において尿管芽の間充織への侵入の段階に必要とされる事が示唆されている。この結果は、Sall1遺伝子が腎形成におけるSix1遺伝子の機能の一部であると推定される尿管芽の侵入の段階の役割を果たしている可能性がある事を示唆する。 Six1の機能はSix1遺伝子と発現領域の重なる同じファミリーに属するSix4遺伝子によって、その機能が一部重複していることが示唆される。従って、Six遺伝子の腎形成における正確な機能を知る上では、Six1/4ダブルノックアウトマウスを用いた研究が必要となる。まず、Six1/4KOマウスのHE切片を作成し観察した結果、予定腎臓領域でSix1KOマウスで異常が観察されるより早い段階の胎生10.5日目において、すでに間充織の欠失という形態的異常が認められた。そこで、胎生9.5日胚において腎形成に重要な役割を果たす遺伝子の発現をSix1KO,とSix1/4KOマウスとで予定腎臓領域で比較した結果、間充織におけるPax8及びGDNFの発現がSix1/4KOマウスにおいて減少していた。このことは、Six4遺伝子がSix1遺伝子と一部共同して、腎形成に重要な遺伝子の発現の制御に関わっている可能性を示唆する。
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