2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの腎形成におけるWntシグナル及びSall遺伝子の分子機構の解析
Project/Area Number |
04J50261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 寛基 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 腎臓 / Sall1 / Six1 / Six4 / Wnt / SRY / 生殖器 |
Research Abstract |
Six1は腎形成に必須であり、Sall1遺伝子の上流であることが報告されている。また、同じファミリーに属するSix3遺伝子は、Wntシグナルの制御に関わることが知られている。そこで現在、Six遺伝子に注目して、腎形成におけるWntシグナルとSall1遺伝子のかかわりを明らかにする為に研究を行っている。Six1遺伝子変異マウスでは、表現型間の差が大きく、ともに腎形成間充織に発現するSix4遺伝子との間に機能的重複が示唆されたので、Six/Six4二重遺伝子変異マウスを作成し、腎形成におけるSixの機能解析を行っている。 Six/Six4二重遺伝子変異マウスの腎発生領域を、HE切片及び免疫染色を用いて調べた。結果、二重遺伝子変異マウスでは、Six1遺伝子変異マウスと比べ早い時期から腎形成間充織の凝集の阻害及び欠失、さらに、Six1を発現しうる細胞の欠失も観察された。さらに、in situハイブリダイゼーションを用いて、遺伝子発現の変化について調べた。結果、Sall1以外に、Pax2、Pax8、Gdnfの発現の減少が観察された。しかし、遺伝子変異マウスにおいて類似の表現型を示し、ウォルフ管に発現するWnt9bの発現の抑制は観察されなかった。ところで、近年、Six1及びSix4遺伝子のエンハンサーにTcfの結合配列があることが報告された。このことから、Wntシグナルが、Six1及びSix4遺伝子の発現を介して、Sall1遺伝子の発現を制御している可能性が示唆される。 さらに二重遺伝子変異マウスの性別を、遺伝学的及び形態学的に調べた。結果、二重遺伝子変異マウスでは遺伝学的にオスである(SRY陽性)にもかかわらず、精巣を含むオスの生殖器を有さず、卵巣を含むメスの生殖器を有する個体が高頻度に生じ、メス化が生じていた。ところで、Wnt4遺伝子変異マウスではオス化が生じ、また、Sall1遺伝子は子宮に発現が観察される。このことから、生殖器形成において、Sixの機能がWntシグナル及びSall1遺伝子の制御と関係する可能性が考えられる。
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Research Products
(1 results)