2004 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ酸施用によるソルガムの吸水能力向上機構の解明及びケイ酸応答性の規定要因の検討
Project/Area Number |
04J50731
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Research Institution | Tottori University |
Research Fellow |
服部 太一朗 国立大学法人鳥取大学, 乾燥地研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 耐乾性 / ケイ酸施肥 / 生理生態学 / 水吸収 / 植物栄養学 / 土壌肥料学 / ソルガム |
Research Abstract |
ソルガムを供試材料として,その吸水能力にかかわる各種生理的要因に及ぼすケイ酸施用効果を明らかにするための実験を行った.ソルガム幼植物体を対象とした水耕試験の結果から,ケイ酸施用によりソルガムの吸水能力が向上すること,その効果は浸透圧ストレス条件下で特異的に発現すること,さらにその効果はケイ酸施用濃度の上昇に伴って顕著になることを確認した.またこのとき,イネで報告されているようなケイ酸施用によるクチクラ蒸散抑制効果はソルガムでは認められないことを明らかにした.水耕栽培条件下で認められたケイ酸施用による吸水能力の向上は,葉面積に対する根量の相対的な増大によるものではなく,浸透圧ストレス条件下での通水抵抗の増加抑制によるものであったことが示された.次いでハイプレッシャーフローメーター法とルートプレッシャーチャンバー法を用いて通水抵抗を定量的に評価しようと試みたが,ソルガムでは根系加圧時に茎基部の節根発生部位から漏水が生じるため,測定が困難であった.そのため,現在測定方法を改良中である.一方,根の通導組織の形態的特徴から吸水能力について検討したところ,ケイ酸施用個体では無施用個体に比較して,根の横断面における中心柱および導管の占める割合が多くなる傾向が認められたが,その変化は個体全体としての吸水能力に大きな影響を及ぼす程度ではないと判断された.このことから,ケイ酸施用による吸水能力向上効果には,通導組織の形態的な変化ではなく,水チャンネルや根圧など,根の生理的活性に関連する要因の変化によってもたらされていることが示唆された.
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Research Products
(2 results)