2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国の魏晋南北朝・隋唐時代における教育の実態、およびその国家・社会との関係
Project/Area Number |
04J50801
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
音成 彩 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 家訓 / 顔氏家訓 / 庭誥 / 金楼子 |
Research Abstract |
平成16年12月12日に行われた九州史学会において以下のような研究発表を行った。 南朝の文化を担った士人について、先行研究では従来九品官人法や貴族制との関わりについて述べられることが多く、教育についての専論は極めて少ない。しかし、当該時代の士人が行動規範を錬成したと考えられる教育の実態を考察することで、当該時代の国家と社会に対する理解を深める助けとなると考えられる。そのような観点から、家庭における教育内容や教育形態などの形式的要素の考察とあわせで学問的教育のみならず、精神的・道徳的教育の指針を示したと思われる家訓類の検討を行った。 その結果、皇子教育の成否は、直接皇子に教育を施す傅育の官よりも、父親である皇帝の皇子教育への関心に影響を受けたこと、一般士大夫の家庭においては、五、六歳から学問教育を開始し、その担い手は、主に父親であったが、父親不在の場合、母親や叔父などが担い手となる場合があったことなどを明らかにした。 また、家訓類の検討においては、『顔氏家訓』のみならず、質、量ともに十分に家訓の体裁をそなえているもののあまり取り上げられなかった顔延之「庭誥」を中心とした家訓類や、あまり例のない、皇室における家訓として梁元帝『金楼子』を取り上げ、当該時代の家訓に、家族の和を重視する、交友関係の質を重視する、寡欲であることを重視するなどの共通認識が表れていることを指摘した。 また。中世史フォーラムや東洋史研究会などの学会に参加し、特に中世史フォーラムにおいては、魏晋南北朝時代の教育においても、大きな影響を及ぼした九品官人法についての知見を広めた。
|