2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J52051
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上野 真由美 北海道大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | シカ / 個体数変動 / 動態パラメータ / 自然死亡 / 狩猟 / 齢別死亡率 / コホート分析 / 生息数復元 |
Research Abstract |
北海道足寄町の13年間(1990-2002)の狩猟データ(有害駆除を含む)を用いて、エゾシカの狩猟における齢別死亡率を推定した。子は性別を問わず低い死亡率を示した(calves : mean=0.04,SD=0.02).一方、1歳や成獣オスの死亡率は子の死亡率よりも高かった(yearlings : mean=0.34,SD=0.08;adult mean=0.38,SD=0.22;P<0.05)。また、1歳や老齢(8歳以上)メスの死亡率は壮齢(3-7years)メスの死亡率よりも高かった(yearlings and old classes mean=0.29,SD=0.21 prime classes mean=0.14,SD=0.07).子や壮齢メスの死亡率の低さは、子や子持ちのメスを撃ちたがらないと言われている狩猟者の意識に一致している。このような齢別死亡率の評価は、シカの個体群増加率を精度高く予測するために有用である。 次に、成獣メスと子の自然死亡率(主に越冬期)を間接的に推定した。成獣メスと子の仮想自然死亡率を使って、コホート分析による生息数復元を行った。結果、成獣メス・子の自然死亡率はいずれもゼロに近いことが示唆された。成獣メスの自然死亡率は、ラジオテレメトリーを用いて直接的に推定された自然死亡率と一致した。一方、子の自然死亡率は、比較する自然死亡率がないものの、これまで考えられていた値よりも低かった。本研究で得られた推定値を確証づけるためにも、さらなる裏付けと手法の洗練が必要であると思われる。このような間接的な動態パラメータの推定は、直接的な推定が困難な動物において非常に有効な手法であると考えられる。
|