2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J52522
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
シャボシアン S アリ 山梨大学, 大学院医学工学総合教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分布型水文モデル / 無観測流域 / 水資源 / 乾燥地 / 融雪 |
Research Abstract |
本研究の目的は、降雨や融雪にともなう河川流量の変化を再現できる物理的な分布型水文モデルを開発することである。また、このモデルによる流出シミュレーション結果をもとに、洪水・渇水リスク解析ならびに水資源としての山地積雪量の重要性を評価する。さらに、衛星リモートセンシングにより得られる積雪面積情報を用いて、融雪流出解析の精度向上を図る。最終的には、これらの解析(入力データの整備から出力結果の図化まで)をGIS上で統合的に行うシステムを構築する。 本年度は、前年度までに開発した水文モデルを用いて、Karaj流域の水資源・水環境アセスメントを行った。特に、当該流域における積雪水資源の重要性を考慮し、流域積雪水量の季節・年々変動特性の把握に重点を置いて研究を行った。具体的には、1)分布型水文モデルと実測流量を用いた流域積雪水量の逆推定手法と 2)降雪モデルと温度指標型融雪モデルとを用いた積雪水量推定手法により、Karaj流域の積雪水資源量の推定を行うとともに、現地観測データにより推定精度の検証を行った。両手法による推定値は実測値とほぼ対応しており、特に年々変動のパターンを精度良く再現できていることが確認された。ここで用いた2つの手法は、少ない気象・水文データのみで適用可能なものであり、地上観測網が充分に整備されていない地域も含め、今後様々な地域への適用が期待される手法である。 また、Kraj流域で開発した無観測流域水文シミュレーション手法の応用的適用としてイラワジ流域(ミャンマー)、ヘルマンド流域(アフガニスタン)のシミュレーションも実施し、手法の妥当性を確認した。
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