2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J52522
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
シャボシアン S アリ 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分布型水文モデル / 無観測流域 / 水資源 / 乾燥地 / 融雪 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イランの最も重要な河川であるKaraj川を対象とした分布型水文モデルの開発と、それを用いた水文解析システムの構築である。Karaj流域は乾燥流域であること、気象観測データが限られた無観測流域であること、河川流出への影響が大きい上流の積雪量を算定するための積雪深データが存在しないこと、といった問題から適切な水文モデルシミュレーションが困難な河川である。 今年度は、まず、分布型水文モデルBTOPMCを用いた観測が不足している地域におけるモデルパラメータ抽出手法を開発した。具体的には、気象要素と流量観測データが長年蓄積されているタイ国のMae Chaem流域(3853km^2)を対象とし、いくつかの観測項目が得られないと仮定した"ブラインドテスト"を行うことによってモデルの算定精度が観測不足条件下でどの程度低下するのかについて調べた。観測が得られない場合の代替として3つの衛星降水データ(GPCP、TRMM、PERSIANN)を使用した場合と、降水量観測値を使用した場合の実験結果を比較した結果、衛星データと観測値の両方を使用しているGPCPが最も観測降水量を用いた結果に近かったものの、残りの2者についても無観測地域の長期水文シミュレーションという目的に関しては十分使用可能であるということが確かめられた。 次に、Karaj流域を対象とした水文モデルのテストランを行った。まず、Karaj流域における降水量と積雪データの収集をフィールド調査により行い、衛星降水データと合わせてモデル入力データの整備を行った。次に、ブラインドテストから得られた最適パラメータ抽出手法を用いて、無観測流域に近い状況であるKaraj流域におけるモデルパラメータの算定に成功した。さらに、衛星観測によるデータから流域内の積雪深・積雪量の算定を行った。 以上の取り組みにより、先に述べたKaraj流域シミュレーションの問題点についてはおおよそ解決された。最終年度は最後の問題点である乾燥流域におけるモデルの改良を行い、最終的なシミュレーションを行う見込みである。
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Research Products
(1 results)