2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトREV3タンパク質の大腸菌における発現誘導系の構築と精製法の確立
Project/Area Number |
04J52862
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
朴 金蓮 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | REV3遺伝子 / 損傷乗り換えDNA合成 / PCRによる塩基置換導入 / 組み換えREV3タンパク質 / 使用頻度の低いコドン / 使用頻度の高いコドン / Hisアフイニテイークロマトグラフイ / FLAGアフイニテイークロマトグラフイ |
Research Abstract |
ヒトREV3タンパク質はヒトでの損傷乗り越え(translesion)DNA合成経路の生化学的解析に必要不可欠なタンパク質因子の一つである。本研究では、組み換えREV3タンパク質を大腸菌で効率よく発現誘導させる系を構築し、組み換えREV3タンパク質の精製法を確立することを目的とする。これまでは、REV3遺伝子が350kDaという巨大タンパク質をコードすることから、組み換えタンパク質の発現誘導が難しく研究の防げとなっていた。実際に、ヒトREV3遺伝子を大腸菌で発現させたところ、REV3タンパク質に相当する産物を確認することができなかった。ヒトREV3遺伝子のコドン組成は大腸菌での使用頻度の低いコドンが多く、REV3タンパク質をコードするコドン3133個のうち、大腸菌での使用頻度の低いコドンは763個見出され、これが発現の阻害要因であると考えられた。そこで、PCRによる塩基置換導入法を使って、REV3遺伝子内の大腸菌での使用頻度の低いコドン763個のうち、299個のコドンを大腸菌での使用頻度の高いコドンに置換した。改変REV3遺伝子を大腸菌において発現させた結果、コドン改変前には全く発現が観察することができなかった組み換えREV3タンパク質が、コドン改変後には銀染色で観察することができるレベルまで増加することが分かった。このタンパク質の見かけ上の分子サイズは350KDaにほぼ一致し、またREV3タンパク質の特異的な抗体を用いたウェスタンブロットを行った結果、組み換えREV3タンパク質の発現が誘導されたことが明らかになった。また、精製をより容易にするために、N_末端にHisタグ、C_末端側にFLAGタグを付けた。発現誘導処理した菌体をHeat Lysis方法で溶菌し、遠心操作で可溶性画分として回収された大腸菌粗抽出液をFLAG抗体カラムにかけ、FLAGペプチドにより溶出した後、キレーテイングセファロース(chelating sepharose)にニッケル(Ni)を結合させたカラムにかけ、イミダゾール(imidazole)の濃度を上げてカラムから溶出した。これにより、組み換えREV3タンパク質の部分精製に成功した。今後は、菌体破砕法の条件を検討し、精製度の高い可溶性組み換えREV3タンパク質を得ることを目指す。
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