2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア諸国における社会的環境管理能力の形成と制度変化の比較分析
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04J52871
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Research Institution | Hiroshima University |
Research Fellow |
岡田 紗更 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会的環境管理能力 / 制度変化 / 援助政策 / 評価 |
Research Abstract |
本年度は社会的環境管理能力のコンセプトを国際援助政策の評価に応用するための研究を実施した。単一の援助分野における主に政府のキャパシティ・ディベロップメントを指向する従来のプロジェクト・アプローチに対し、複数の援助分野を横断する包括的で長期的なプログラム・アプローチの必要性がうまれてきているが、援助スコープに3つの社会的アクター(政府・民間部門・市民社会)の能力形成と3者関係の構築を設定することがプログラム・アプローチには不可欠な視点であるという視点を示した。 国際援助機関ではプログラム・アプローチを実現するための条件の一つに被支援国のオーナーシップの必要性を挙げている。しかしオーナーシップを確立するために必要なキャパシティをどのように向上させることが可能かという点は明確にされていない。社会的アクターのキャパシティ・ディベロップメントからなる社会的能力の向上を国レベルの上位政策目標として設定した上で、それを複数の個別プロジェクト目標に分割した援助を実施することにより、プログラム・アプローチが有効に機能するとの見方を提示した。 本研究の事例研究のために世界銀行研究所へ海外渡航を行い、情報・資料収集を実施した。世界銀行の環境プロジェクトのデータを用い、国際援助機関が環境分野において社会的環境能力の形成にどのように貢献しているのかを分析した。その際、被支援国のガバナンスのレベルが対象とする社会的アクターの能力形成にどのような影響を与えるかを分析した。提示してきた3つの社会的アクターのうち、ガバナンスの低い国では市民社会への援助が政府に次いで大きいという結果が見られた。環境分野においてガバナンスの低い国では政府>市民社会>民間セクターといった優先順位を設定して援助強化をすることが有効である可能性を示した。今後は、援助がこれら3つの社会的アクターの関係強化に与える影響に関して研究を進める。
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Research Products
(3 results)