2004 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌によるダイオキシン分解に関与する酵素、遺伝子の解明
Project/Area Number |
04J52922
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
亀井 一郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授
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Keywords | ダイオキシン / 白色腐朽菌 / リグニン / バイオレメディエーション / P450 |
Research Abstract |
不定形高分子ポリマーであるリグニンを単独で分解可能な白色腐朽菌によるダイオキシンの分解機構を解明し、環境浄化システムに寄与することを目的とした。現在、白色腐朽菌による塩素化ダイオキシンの分解について、代謝経路についてはほとんど知見がなく、分解可能なダイオキシン異性体の特定とその代謝経路についての検討が必要である。 白色腐朽菌によるダイオキシンの分解試験において、見かけ上分解したように見える現象が菌体への強固な吸着であることを突き止め、その吸着を防止することで真の分解量を定量する分析前処理方法を考案した。その結果、ダイオキシンの分解を確証できる白色腐朽菌の特定に成功した。 2,7-dichlorodibenzo-p-dioxinをモデル基質としたスクリーニングにより塩素化ダイオキシンを高度に分解できる白色腐朽菌を単離した。またそれらの白色腐朽菌の18S rDNAの配列に基づいた系統解析を行い、それらの菌株が遺伝的に近縁な一群を形成していることを示し、属レベルでの遺伝的類縁関係に着目した新しいスクリーニング法を考案した。また、これら白色腐朽菌はバクテリアでは分解が困難とされる四塩素化ダイオキシンを分解できることを明らかにした。分解代謝物として水酸化物、メトキシル化物、さらにクロロカテコールを同定し、その主要な代謝経路がシトクロムP450による基質の水酸化を経て進行することを明らかにした。
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