2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04J52931
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堤 紀子 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属疲労 / 超音波疲労試験 / 超長寿命疲労破壊 / 繰返し速度 |
Research Abstract |
系統的に金属材料の疲労強度に及ぼす繰返し速度の影響を明らかにするために,低炭素鋼,Ni-Cr-Mo鋼およびアルミニウム合金を使用し,超音波疲労試験(繰返し速度20kHz)および引張圧縮疲労試験(10-80Hz)を行った,超音波疲労試験では高い繰返し速度のために試験片が発熱することがある,本研究では試験片の温度上昇を疲労強度に影響しない範囲に抑えた。さらに超音波疲労試験では応力振幅はひずみゲージを使用して測定した値を使用し,精度良い疲労試験を行った. 1.低炭素鋼 超音波疲労試験による疲労限度は引張圧縮疲労試験による疲労限度よりも約25%高い傾向が得られた.繰返し速度の違いによる疲労強度の差は低炭素鋼に多く含まれるフェライト組織が降伏点および引張強さに対してひずみ速度依存性を持つことから生じると考えられる,低炭素鋼のひずみ速度依存性について実験し,ひずみ速度が疲労強度に及ぼす影響とひずみ速度依存性の相関性を明らかにする必要がある. 2.Ni-Cr-Mo鋼 超音波疲労試験および引張圧縮試験による疲労強度はほぼ一致していた,超音波疲労試験および引張圧縮疲労試験におけるき裂進展挙動にも明らかな差異は認められなかった.このことから,Ni-Cr-Mo鋼では疲労強度に及ぼす繰返し速度依存性は極めて小さいと考えられ,超音波疲労試験機を使用した超長寿命疲労データの取得には問題がないといえる. 3.アルミニウム合金 超音波疲労試験および引張圧縮試験による疲労強度はほぼ一致していた,しかし,超長寿命領域では超音波疲労試験による疲労寿命の方が引張圧縮疲労試験による疲労寿命よりも100倍程度長くなる傾向があり,き裂進展挙動にも明らかな差異が見られた.超音波疲労試験にみられた特有のき裂進展挙動はこれまでに報告例はない.この特有のき裂の発生にはき裂進展に及ぼす結晶粒径の影響が考えられ,さらなる検討が必要である.
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