2005 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性を付与した温度応答性培養皿の創製と組織再生への応用
Project/Area Number |
04J53141
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
畠山 英之 東京女子医科大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 2-カルボキシ-N-イソプロピルアクリルアミド / RGDS / Insulin / バイオ機能化温度応答性表面 / パターン固定化 / 時空間制御 / 再生医療 |
Research Abstract |
申請者の研究室では、無血清培養下での組織再生を目指し、接着ペプチドのRGDS、あるいは増殖因子のインスリン(INS)を固定した温度応答性表面を作製し、これを用いて細胞接着・増殖挙動を賦活化しうることを明らかにしてきた。本研究では、カルボキシル基を導入した温度応答性表面にRGDSとINSをパターン状に共固定した表面を新規に調製し、本培養皿上での細胞接着・増殖および脱着挙動の時空間制御を検討した。 RGDS-INSパターン表面にNIH3T3細胞(3T3)を播種し、細胞接着・増殖挙動を経時的に観察したところ、血清存在下では表面全体に接着・増殖したが、血清非存在下ではRGDS-INSパターン選択的に接着・増殖した。これは、血清中に存在する接着タンパクや増殖因子がRGDS-INSの非固定部位にも吸着した結果、表面全体での細胞接着・増殖を促進したためと考えられた。さらに、血清非存在下、RGDS-INSパターン表面上で長期培養したところ、RGDS-INS非固定領域上にも3T3が接着・伸展し、コンフルエントまで増殖した。 血清存在下、RGDS-INSパターン表面上で3T3をコンフルエントまで培養後、低温処理を行い、細胞脱着挙動を経時的に追跡したところ、脱着時間を制御しつつRGDS-INS非固定領域の接着細胞を優先的に脱着させることが可能であった。さらに、血清非存在下、RGDS-INSパターン表面上で3T3をパターン状に培養後、低温処理を行い、網目構造を有する単層組織として回収できた。 本研究で調製したバイオ機能化温度応答性表面は、生理活性物質のパターン固定化で細胞接着/脱着領域を空間的に制御しつつ、細胞接着/脱着速度を時間的に制御しうる高機能性を有することが示唆された。本結果は、特定細胞の増殖・分化機能のみを特異的かつ効率的に賦活化させた培養組織の再構築に向けた極めて重要な知見といえる。
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